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「僕も大文字先生に賛成です」
ソファから立ち上がりながらそう言ったのは古東だった。
「病院経営から考えると、医者をポイントで釣ってどんどん患者を入れ替えないと、赤字になってしまうんでしょう? でも僕は医者です。よりよい医療を提供すれば、自然と患者って集まるものじゃないでしょうか」
むううう、と藍膳は唸った。
そんなの理想論だ。クチコミで外来患者が増えたところで入院患者数をまわしていかないことには、あっという間に経営は傾く。病院が潰れて困るのは、病院の職員ばかりではない、患者だって困る筈だ──。
そう思っているのだが、それを言葉に出せない自分がいることもまた事実であった。もし……。もし自分が医学部部長という立場でなく一介の医師だったら。
自分の発案した制度ではあるが、もしかしたら自分も、大文字たちのように喰ってかかっていたのではあるまいか。
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