ポイント・ハンター

１

ある時、藍膳教授は愛妻とともに買い物に出掛けた。山のような食料品を精算するためレジに並ぶと、先に会計をしている人のほとんどが、クレジットカードで支払いをしていることに気付いた。

そしていざ、自分たちの番になると、なんと妻も財布からクレジットカードを出しているではないか。藍膳家ではこれまでずっと、どんな高い買い物をする時であっても、常に現金払いであった。なんとなくクレジットカードは信用が置けないと感じるからだ。

「おい、おまえいつ、カードなんか作ったんだ」

藍膳教授は思わず妻に尋ねた。

「あらやだ。あなた何を勘違いしてるの？」

妻は目をぱちくりさせた。てんこ盛りの付け睫から風が送られてきそうだった。