ポイント・ハンター

１

「これ、ここのお店のポイントカードよ」

「ポイントカード……？」

妻が答える前に、商品の合計金額が提示された。妻は財布から現金を取り出した。

「商品ごとにポイントがついてるのよ。ポイントが貯まれば、それを１ポイント１円として使えるの」

「１ポイント１円……」

妻が釣り銭を受け取り、藍膳教授は重い買い物かごを袋詰めする台へと運んだ。運びながらも、初めて聞くそのシステムのことで頭がいっぱいだった。

「どんなお店でも大抵はポイントカードがあるわよ。レストラン、花屋さん、ケーキ屋さん、薬局、ガソリンスタンド……。あなた買い物した時に聞かれたことない？　“ポイントカードはよろしいですか？”って」

言われてみれば、いつもと言っていいほど、レジ係のスタッフに聞かれていたなあと、せっせと品物を袋に移しながら藍膳は思い起こしていた。「よろしいですか」の意味がわからず、ずっとスルーしていたのだ。