ある神官の一日

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◇ 「お疲れ様です、金の神官様!」 私が街側の『神門』に出現すると、顔見知りの門番から声をかけられた。 (今日の門番はこいつだったのか。いつも羨ましいくらい元気だな……) 高位神官は金の腕輪を着けているため、“金の”と前置きして呼んでいるのだろうが、相変わらず単純な奴だ。 「ああ、君か。暑いなか、ご苦労様。水分は、ちゃんととってるか?」 「は! 教えて頂いたように、補水液を定期的に補給しております!」 「それは感心だな。これからも忘れずに飲めよ」 「は! ありがとうございます!」 この門番が新人だった頃、熱あたりで倒れたのを治療したのが、私だった。 その頃の私は、高位神官になったばかりで、かなり丁寧に治療したのを覚えている。 そのとき門番に教えたのが、私特製の補水液の作り方だったのだ。 味は癖があるが、体には良い。 それ以来、なぜかこの門番に懐かれたようで、顔を見かける度に、こうして元気に挨拶される。 (さて、私も仕事を頑張るか……) 門番に元気をもらった私は、気が重い『労働』をこなすため、神託所へと向かった。
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