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目が覚めたら、目の前に勇者がいた。
え、何で
「おい、勇者?」
「何すか、魔王さん」
「何故ここにいる。」
「えーだって魔王さん、勇者いるのに寝るとか倒してくれって言ってる様なもんっすよ~」
「ほぉ、俺と戦いたいんだな。」
「いや、ちょっ…あんさん何言っとるんですかいな、わてがそげん事するわきゃありまへんやないの~」
「急にどうした。」
まだ独り言を言っている勇者を無視して部下を呼ぶ。
「おい何か食べる物は無いか。」
「ホットドッグならございますが、それ以外は人参と玉ねぎと豚肉とじゃがいもとカレーのルゥしかないです。」
「よしじゃあカレーを作ろうか。」
「えー……」
何だコイツ。何で俺が?って顔しやがったぜ
「なんかやるからカレーを作れ。」
「えー……」
何だコイツ。
ほんと何だコイツ。
「あの、魔王さん、俺が作りましょうか…?」
………勇者、いいヤツだな。
「勇者……助かる。ありがとな。礼と言っては何だが…何か一つ、望みを聞いてやろう。」
「本当っすか!?じゃあ……!」
「何でも言え。出来る限りの事はしよう。」
「……あ、やっぱり、後でにします。こういうのは、相手の気持ちも大切にするべきだと思うんで………」
初めて、勇者のこんな顔を見た。
大切な誰かを想っている、優しくて、でも辛そうな顔を。
「勇者……?」
「っあ、何でもないっす。カレー、作って来ますね。」
勇者がキッチンに向かう時の顔は、凄く………
寂しそうだった。
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