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「そりゃあ私だってこんな馬鹿げた現象、早くどうにかしてほしいわ。でも今はどうしようもないんだから楽しまなきゃ。」
この研究所にいるという事はリバースを終わらせたいと望んでいるという事だ。
こんなふざけたような芽濃さんが、実は1番それを望んでいるのかも知れない。
リバースの起こった15年前、芽濃さんは35歳で妊娠していた。
不妊に悩まされ、苦労してやっと授かった赤ん坊が産まれて翌日リバースは起こった。
リバースが起こったこの世界での寿命は分かりやすい。
それは年齢そのものだ。
つまり1日前に産まれた芽濃さんの赤ん坊は、僅か1日でその命を終えた。
名前すら付けずにこの世を去ってしまった自分の息子が不憫でならなかった。
芽濃さんは世界を、リバースを呪った。
「さあ、今日も1日がんばるわよ!」
再び背中を叩かれて、今度は噎せてしまった。
「行平、芽濃の精一杯の強がりをわかってやりな。」
「...わかってますよ、狩屋さん。」
この研究室の長、狩屋さん。
現在31歳、実年齢61歳。
この人はあまりリバースに対して恨みなどはないが、興味深いこの現象を解決するという事自体を目的としている。
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