プロローグ

4/4
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
今はとにかく何故こんな真っ暗闇の中にいるのかを確認することの方が重要だ。 相変わらずカタカタと鳴り響く音が止む気配はない。 というよりなんだか段々大きくなってる気がするんだけど。 それが何なのか確認しようにもこう視界が無くては本当にどうしようもない。 とにかく暗い! 暗すぎて何にも見えない! 最早どこが上か下かも分からないほどに真っ暗である。 何でもいい。 何か明かりが欲しい。 「おお…!?」 そうポツリと考えると、視界の真ん中にまたしても表記が現れた。 『Skill『王霊の夜目』を獲得しました。』 まただ。 こうも唐突に目の前に現れてもらうとビックリして身体が仰け反ってしまう。 もうちょっと慎ましく出て来て貰いたいものだが。 えーなになに。 『王霊』…?はよく分からないが、この『夜目』と言うのはもしかして…。 『夜目』と書いてあると言うことは、つまり。 「おお…!やっぱり!」 少しずつでボンヤリとではあるが段々と真っ暗だった視界に色が付いてきた様なき気がする。 いや、付いてきた。間違いない。 つまりはこの『Skill』と言うのが発動して暗闇でも目が効くようになったと考えて良いのだろうか。 かなりご都合で体の良い解釈ではあるが。 今はこの結論以外に視界が暗闇を脱却できた理由が思い付かない。 おお…! 見える、見えるぞ! あの不気味だったカタカタという音の正体も気になって仕方が無かったからな。 まず視界に入ってきて分かったのが、俺は今まで灰色のスベスベとした地面に横たわっていたということ。 さらにその灰色の地面には赤い液体で何かが描かれていることが分かった。 何だろうこの生暖かい液体は。 それで俺を囲むように何かが描かれているように見える。 見たことも無いような文字と紋様が、まるで魔方陣か何かのように。 なんだか気味が悪い。 そう感じた俺はそこから離れるように場所を移した。 こうしている間も相変わらずカタカタとうるさい音が響いている。 結局この音は何なのだろう。 そして─、音のする方へ目を凝らした俺は初めて自分の目を疑う事になるのだった。 何故なら、そこには無数の骸骨が顎をカタカタと鳴らしながらこちらを見ていたのだから─。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!