空っぽだったあの日

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その夜の宿の食事はあまり喉を通らず、そのまま翌朝を迎えた。 朝食も摂らず、そのまま宿を出ようとした私に、女将が無理矢理にビニル袋を押し付けてきた。 「あんた、昨日も食べてなかったろ! いいからもってお行き! 急ぐには早すぎるよ! ちょうど今日は晴れてる。 もっとゆっくり見てみな!」 ……バレてる。 バレてるけど、そんなの関係ない。 私の終着点は私が決める。 もう、ここに違いないんだから。 ただ、女将の善意をわざわざ無下にするのも気が引けた。 それだけの理由で私は包みを受け取って宿を出た。
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