空っぽだったあの日

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ハハ、情けな。 なにやってんだろ私ったら。 呆然と辺りを見渡せば、そこには雄大な立山連峰が広がる。 ーー綺麗かも。 昨日は何とも思わなかった。 今朝も思わなかった。 いや、観てなかった。 観ようとすらしなかった。 私は、自分で周りを視ようと、してこなかった……。 ……そっか。 グゥゥ。 なんか、色々落ち着いたら急にお腹の虫が鳴り出した。 は、恥ずかしい! 咄嗟に見つけた近くのベンチに走り込み、女将からもらった包みを開ける。 粗末な塩むすびが二個。 それだけの簡単な食事を、私は絶景の中で食べた。
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