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瓦礫だらけの倒壊した街で二人の少女が凡そ人とは思えない異形の化け物、魔物に囲まれていた。少女達は背中合わせになっており周囲を警戒している。
「はぁ……はぁ……氷雨、早く倒してよ。
私の方が倒してるんだけど?」
黒を基調とした服装にスカート姿の、セミロングの金髪に整った顔立ちの少女が息を切らせながら氷雨と呼んだ黒髪のツインテールの少女に話し掛ける。氷雨と呼ばれた少女はそれに眉間を寄せる。
「クロエ、あんたの方がおかしくなったかしら? どう考えても私の方が倒してるでしょうに。 ちっ、しょうがないわねぇ。連戦で疲れてるってーのに」
氷雨は忌々しそうに舌打ちをすると右腕を軽く上げる。それと同時に地面から氷の棘が突出し魔物の身体を容易に貫く。
腕を飛ばされた魔物もいれば、顔面を貫かれた魔物もおり、氷の中に閉じ込められた魔物もいた。 しかし、数が多いのかチラホラ生き残った魔物も見受けられた。
氷雨はクロエと呼んだ少女に顎をしゃくって合図する。 生き残った魔物を倒せという意味だろう。 クロエは微笑むと首を横に振る。
「ちっ。 あんたはどこまで私をこき使えば良いのよ!!」
舌打ちすると生き残った魔物目掛けて右手に持った剣を振るう。 魔物は剣を振られた順に身体が真っ二つに切り離された。氷雨は無表情で魔物を全て倒した事を確認するとようやくクロエと背中合わせの状態を解除し、向かい合わせになる。
「はぁ……はっ、はぁ………クロエ、あんたも鬼ね。余計な魔力使わせて。そんな私を疲弊させたい?」
「そんな訳ないよ? ただ、私より中距離攻撃に優れた氷雨の方があの状況を突破出来ると思っただけ」
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