第1章     転落の始まり

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「これで、半年は余裕で生活出来る」 つい千秋真奈(ちあきまな)はほくそ笑んだが、これだけでは終わらない。 「絶対、映画女優になってやる!」 目標はAVでは無く、芸能界のスターだ。 千秋は身長が175センチ程あり、ハイヒールを履くと、 一見モデルに観える。 さりとて、普段着はいつもサッパリしていて、 スカートは余り履かない方だ。 小顔で瞳がパッチリしていて、口元が締まリ スター性を感じさせるのだ。 AV撮影が終わり、自宅マンションに戻ると 午後8時を過ぎていた。 「朝10時から始まって、終了したのが午後6時………………。 8時間か、長いなぁ」 千秋が、かったるそうに呟いた。 身も心も、クタクタだ。 しかし、このバイトに対して罪悪感など無く、 逆にストレス解消になっている。 ある日、いきなり臨時教師としての勤務の為、 まだまだ新人として肩身が狭い。 溜まりに溜まったストレスは、AV現場で発散する。 千秋の、流儀だ。 「私は、淫乱なのかしら?」 1人での自問自答が、クセになっていた。 千秋は小学校の音楽授業を受け持っていたが、臨時教員の為に 週3日勤務で、給与が充分ではない。 苦肉の策として、AV女優を決断したのであった。 公務員である以上、副業は御法度。 しかし、生活の為には仕方無い。 悪い事と知りつつも、辞める訳には行かない。 だから、学校や家族には内緒だ。 AV女優と言う職業は、スターになれれば何百万と稼げるが、 B級C級女優に至っては、一本数万円にしかならない。 幸い千秋はDVDの売り上げと共に、ネットのアクセス数も 伸びている。 そのお陰で、公務員給与の10倍のギャランティーがつく。
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