第1章     転落の始まり

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千秋の両親は、共に教師であった。 特に父は、中学校の校長先生だったのである。 両親の躾はかなり厳しく、門限に遅れた時などは フローリングの床に3時間の正座は当たり前だった。 そんな厳格な父が、あろうことかタイ警察に依って 買春行為で逮捕されてしまったのである。 校長はよく冬休みや夏休みを利用して、 タイに出張していたのだが、 まさかタイ人少年と性的行為に及んでいたとは!? 同性愛者…………それが父の性癖!? 自宅に警察が家宅捜索にやって来て、父のパソコンが押収された。 パソコンのハードディスクには、少年の裸体画像が 大量にストックされていたという。 教育者でありながら、こんな事を! ショックな事実であったが、この時千秋はまだ多感な17歳。 当然、マスコミの騒ぎも大変なものであった。 連日の報道に、いつしか世間は尊敬から嘲笑へと変化して行った。 「裏切られた!!」 そう叫びながら、母は毎日泣いて過ごす日々。 その後、親戚の世話で親子2人して、家を出たのだ。 千秋は母の頑張りに依って、音大に入学し卒業する事が出来た。 父は刑務所で3年間服役した後、出所したとたん 行方不明となってしまった。 音楽大学在籍時、ピアノを専攻していた千秋は、 卒業前に海外留学が決定。 ところが、激しい練習から腱鞘炎を患い、 ピアニストの夢は無惨にも絶たれてしまったのである。 すぐ様、母の進言に依って教員免許を取得し、 小学校の臨時教員になる事が出来た。 千秋が務める小学校の校長は、父の親友だった為に 母の根回しによる進路が決定された。 ピアニストの夢は挫折、だが映画女優の夢は諦めきれない。 AVは、映画女優になる為の第一歩。 「私は決して、父の様にはならない!」 硬く誓った千秋だったが、現在はAV孃。 蛙の子は蛙…………………。 何か胸の中に、シコリの様な物が。 快楽の探求、この言葉が頭から離れない。
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