第1章     転落の始まり

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その薬は錠剤になっており、色は白っぽいブルーだ。 「MDMAよ………………」 互いに、ニヤリと笑う2人。 千秋が1錠ずつ、グラスの中にポトリと落とした。 紺色の液体の中で、煙りの様に薬剤が拡がる。 そして、2人同時に飲み干してしまう。 もう、味はどうでも良いのだ。 MDMAは、若干の興奮作用がある。 心臓がドキドキしてくると、全身が敏感な反応を示す。 それは美佳も同じだろう、上気した顔で上着ポケットから 小さなビニール袋を取り出す。 その中には、白い粉が3分の1程入っている。 テーブルの上に、そっと出す美佳。 「先生、こっちの方が効くよ」 その瞬間千秋が大きく、瞳を見開いた。 「どうしたのこれ? 覚醒剤じゃ!」 千秋の問いに、悪戯っぽく笑うと。 「今学校で流行ってるの、みんなやってるよ」 背中がゾクッとしたのだが、MDMAが効いてきたのか 麻薬という言葉にも興奮を覚えた。 「どうすればいい?」 「先生、初めて?」 千秋の返事に以外性を感じたものの、袋を破り空のグラスに 白い粉を入れ、微量のワインと混ぜた。 そして美佳が、細く小さな注射器を取り出す。 中に微量の覚醒剤を取り込み、左腕に注入する。 今度は、それを千秋に渡す。 受け取った千秋が、震えながらも針を刺す。 いつの間にか、美佳の口元から涎が垂れている。 興奮作用だろうか、それを観た千秋が突然席を立ち、 美佳の傍に寄ると美佳の口にキスをした。
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