カフェ店員と愛、育みました

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「朱里さんの顔熱い。意識するの早いから」 「だって……」 帰させてくれないなんて、その理由を想像できないほど私たちは浅くない。 「泊まるって言って。ほんとは今俺余裕ないんだ……」 必死な声を出すから「泊まる」と宣言する。 「帰らないつもりで行く……」 「うん……」 瑛太くんはより一層強く私を抱く。 「しばらく会えなくても頑張れそう」 「私も。楽しみ」 クリスマスまではお互い会えない。それでも次の日の約束があれば寂しくても耐えられそうだ。 お互いの家に泊まるのは過去何度かあった。でも瑛太くんの求める行為は3年ぶり。楽しみで待ち遠しい。そしてほんの少し怯えている。 右手の薬指に嵌めた指輪を左手の指で何度も撫でる。ピンクゴールドの指輪は肌に触れなかった空白の期間を感じさせず今でも指にぴったり馴染む。特別な日にはこの指輪を身につけたかった。 私の家まで迎えに来るからと言った瑛太くんがマンションの下に来てと連絡してきたから下りると見慣れない車が停まり、その前に瑛太くんが立っている。 「え? 瑛太くんの車?」 「そうだよ。初めてローン組んだ」 照れくさそうに話す姿に何だか私が誇らしくなる。過去に付き合っていた時には免許を持っていなかった。教習所に通ったことも、車を選んだことも、その過程を見逃してしまったことが悔しいけれど、私も経験したことがない大きな買い物をしたなんて尊敬する。 「電車で移動してもよかったんだけど、ドライブデートもしてみたかったし」 助手席のドアを開けてくれたからドキドキして乗り込む。 「荷物は後ろに置いていいよ」 瑛太くんは私のショルダーバッグとは別の大きいバッグを受け取ると後部座席に置いた。お泊りに必要な荷物が入っていると察して上機嫌になっている。
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