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それからは戦う気力も無く、気づくと家の前に立っていた。
「情けない・・・・っ」
魔法を放った人物への疑問と、殺されかけたことへの恐怖、何よりも弱すぎる自らへの苛立ち。
夕飯もたべず、ベッドに横になっていた。
「ん・・・・、寝てたのか・・・・。」
いつの間にか部屋は真っ暗になっていた。
窓からは月明かりが差し込み、川の音と虫たちの鳴き声が心地よく、もう一度目を閉じた。
「!?」
ドアの向こう、玄関の方から足音の様な音が聞こえた。
(だ、誰かいる・・・・!?)
他の住民の家から離れたこの場所に人が来ることは滅多にない。さらに音がするのは家の中からだ。
音は一度止まり、直ぐに鳴り出した。
次第に音は大きくなり、僕のいる部屋に近づいて来ている。
慌てて短剣を取り、冷や汗を顎に溜め、あらん限りの力で握りしめた。
何者かは部屋の前で止まり、ゆっくりとドアが開く。
(・・・・っっ)
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