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ジャカジャカジャカジャカ。
頭おかしなるような騒音の中
コーヒー配ってもう何年になるやろか。
物言わぬ台に向こて、
いい歳した大人がジャンジャンバリバリ。
毎日毎日フィーバーフィーバー。
開け開けポンと開けチューリップ。
吉本の寛平ちゃんもそんな歌歌とてたけど
毎日面白いことひとつもないような顔して
黙々と玉打ち続けるオッサンらの気持ちは
何年経ってもわからへん。
花の慶次だ牙狼だ何だ。
やかましい音楽と子供みたいな漫画の台。
そないよぉけ儲かる訳でもあれへんやろに。
アホみたい。いや、アホやで皆。
そない思うのは自分も似たようなことしてたから。
ピカピカギラギラワーワーキャーキャー。
極彩色のスポットライトの中踊る役者に
虎の子の諭吉さんを胸元へ帯へ。
毎日面白いことひとつもないような普通の主婦やった。
だからたまたま町内会の婦人部長に連れてかれたあの舞台にハマってもうた。
最初は部長とそこから一人で。最初は地元だけそこから地方も。
酒供養だお梶だ雪深深だ愛燦燦だ。
あかんあかん思いながら湯水のようにお金をつこて。
気付いた時には家も夫も子も消えた。
アホみたい。いやアホやった。
「ねえちゃん、こっちにもコーヒーくれや」
呼ぶ男の顔はあの役者にも消えた夫にもよく似てる。
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