こけ女

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 部屋のあちこちへ飛び散る子供達。壁や家具に当たりゴロリと転がる姿を見て、私は我に返る。  何をやってるの私。この子達が何をしたって言うの? この子達は何も悪くないのに。  これじゃあ私も、あの悪魔達と一緒じゃない。  そう……。私はいつの間にか、聖母の面を付けた魔女となっていた。  いつからだろう。虐待のニュースが流れる度、悲痛で張り裂けそうな心の片隅に、ほくそ笑んでいる私がいるようになったのは。  また不幸な子を手に入れられる。またコレクションが増える。また、ママになれる……と。そして死亡には至らず無事に保護されたケースの時には小さく舌打ちさえしていた。  最低。なんて私は、最低なエゴイスト女なの。  こんな人形を愛でたところで亡くなった子供達は何も浮かばれない。私一人が勝手に優越感に浸っていただけ。  だって子供達が本当に愛されたかったのは、私ではなく実の両親なんだもの……。  私は泣いた。彼に捨てられた時と同じくらい啜り泣いた。  やがて少し落ち着きを取り戻すと、そのまま布団を敷き、食事も摂らず早々に(とこ)に着いた。  明日になったらこけしは全部、元に戻そう。いつまでも亡くなった子供を現世に留めておくわけにもいかない。  そしていつの日か、本当の幸せを見付けてみせる。  いつか、きっと、本当の、ママに…………。
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