序章 

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世の中理不尽だと思う。 何がって、すべてだよ。 柏木悠子。 天然パーマがふわっふわな高校二年生のまごうことなきJK。 ちょっと大きめなメガネとちっちゃい身長がチャーミングな女の子。 背丈に比例してか、胸は無い。 そう思った瞬間、頭をはたかれた。 「何すんだよ」 「ユータ、今失礼なコト考えた!」 無い胸を庇うようにして眼を怒らせる。 なんで分かるんだ? そう。 今紹介したのは、俺のコトではなく、目の前に立って何やらまくし立てていた女子生徒のコトだ。 最初に言った、理不尽そのものだ。 俺の名前は柏木勇太。 柏木悠子とは親戚関係はおろか、親類関係もない。 まったくの偶然で同じ高校に入り、同じクラスになっただけの関係だ。 しかし、回りはそう見なさない。 勝手に双子にされ、泣き別れにされ、運命の再会と囃し立てられた(特に女子)。 もちろん悠子の両親も俺の両親も実の親であり、親同士の関係もない。 にも関わらず、俺と悠子は近親なんてろのイケない関係だと揶揄される(特に男子)。 小学生かよ、と無視するのは簡単だが、目の前の悠子はそうは言ってられない状況にあった。
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