会いたかった

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 それは中学三年の時の話。 普通に普通の毎日。 なのに、それは突然、始まった。 いじめ はじめはシカトから。 声をかけても誰も逃げるように去って行った。 私は私を責めた。 どこか見た目が変だから? 何か変なこと言ったかな? 流行りにも敏感になった。 話ができるように、できるだけ話題のネタを集めた。 身だしなみにも気を使った。 仕草も注意した。 しかし シカトは続いた。 そのうえ、いつの頃からか私の教科書やノートに落書きがされるようになった。 一体、私の何が変なの? 理由を考えて、探して、分からなくて、泣いた。 そんな、ある日。 何気なく聞いてしまったクラスの女子たちの会話。 それは私の噂話だった。 「…ってさ、なんか変よね」 やっぱり私は変なんだ。 そうショックを受けたけど、一体何が変なのか知りたくて私は息を殺し耳をそば立てた。 「そうそう!なぁんか妙に“女の子”してるしぃ?」 「いじめられてるの気付いてないとか?」 「それ、天然?」 「あははは…かもね~!」 グッと手をグーにして我慢する。しなきゃ泣きそうだから。 しかし、次の会話を聞いて、私は泣くよりも怒りに似た――いや、失望と呼べる衝撃に言葉を失った。 「でもさ?そろそろ飽きない?」 「そうよね~?」 「そろそろさ、ターゲット…変える?」 …ター…ゲット? ターゲット…標的…。 「飽きたゲームは…ポイッ!ね」 「じゃあさぁ…次は誰をいじめよっか?」 ゲーム…次…。 やっと分かった。 私がいじめられている理由。 それはゲーム。 いじめるというゲーム。 この人たち…いや、多分、クラスの大半が『ゲーム』をしてる感覚で、いじめられる人間の反応を楽しんでいるだけ。 私は今まで自分を責めていた。 自分のどこかに落ち度があると思っていた。 なのに、そんな事は関係なかった。 ゲーム。 ただ暇つぶしに、私はいじめられてきたということ。 信じ…られない。 涙も怒りも、すでに通り過ぎ、私の胸には不信感だけがこびりついた。 誰も、信じられない。 その日から私は本当の孤独を感じながら生きることになった。  いじめは続いた。 他にターゲットがいなかったのか。 そんな事は関係ない。 シカト…落書き…されても怖くなかった。 怖かったのは、みんなの心。 いつしか私は、表情すら捨てて教室に座っていた。
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