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そのあと、部活の様子を見に来たうちの部の顧問の林先生がちょうどやってきたので、彼はこれらの処分を提案した。だが、先生の反応は意外なものだった。
「これを捨てるなんて言わないで。これは、うちの部の先輩たちが厳選して集めてきた同人誌なの。中には、漫画家としてメジャーになった人の同人誌もあってプレミアがついているものもあるの。とにかく貴重なの」
どうやら、顧問の林先生も、これらの本の存在は前々から知っていたようだ。
「それに、先生の集めてた、同人誌もここにはありますものね」
部長がにやりと笑う。
「ええ、私が学生の頃、ここの部員だった頃に集めた青春の思い出が・・・詰まってるの」
「だから、捨てるわけにはいかないの。分かった?」
「はぁ」
彼にはため息しか返せない。
要するに、部長と同様にこの顧問の先生も残念美人だったらしい。
「しかし、文化祭に出す新しい会誌はどうしますか」
まさか、ここにあるBL本を参考資料にすることはできない。一からなにかネタ集めをしなければ。
「うちの近くに最近市議を辞めたおじいさんがいるから、その人にこの町の歴史を聞くというのは、どうかしら」
部長が、すごくまじめな意見を出す。
「あら、それはいいわね、元市議の協力という肩書は、他の先生方の受けもいいでしょう」
林先生が賛同する。
「先生、この部室秘蔵のBL本の存在がばれないようにうちの部の外面をよくしようと考えてますね」
彼は先生の本音を感じ取り苦笑した。
「当り前じゃない、教師が腐女子だったなんて、今日までばれてないんだからこのまま絶対に隠し通すに決まってるでしょ」
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