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痛みを感じなくなったのはいつからだっただろうか。 痛み、痛覚は人間の最も恐れるものと言っても過言ではないと思う。 あまりにも強い痛みを感じると死に至ることだってあるのだそうだ。 痛いのは怖い。痛いのは嫌だ。でも、痛みを加えないといけない時だってある。手術なんてもんは代表例だと思う。病気を治すため、体を切り裂いて悪い所を除去する。いくら病気を治すためとはいえ、痛みに耐えきれず行ってる最中に死なれちゃ元も子もない。 だから人間は、麻酔を生み出した。 感覚を鈍らせ、痛みを感じなくさせるもの。物理的な痛みならそれで解決する。痛み止めだって同じだ。 では、目に見えないものの痛みに対してはどうだろうか。 例えば、心。 心が傷ついても僕らは何もすることが出来ない。痛くて、辛くて、涙を流して。けれど消えない。いつまでたっても消えない、ずっとずっと死ぬまでその痛みと付き合う人だっていると思う。 人類が発明した麻酔。それは心の痛みには効いてくれないのだ。
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