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僕は全てを話した。
高校2年生の時から恋してたこと。
今も同じクラスで、それを知った時喜んだこと。突然君が居なくなって凄く心配してたこと。
そして、あの夜のこと。それから心を病んだこと。
言葉枷が取れた途端、スラスラと自分でも驚くくらい簡単に言葉を発することができた。
なんだ、こんなに簡単な事だったのか。自分の間抜けさに呆れ、自嘲した。
それに話していくにつれ、僕のカラッポだった心が暖かい何かで満たされていく。
それが何より心地よかった。
全ての話が終わったあと、暫くの間沈黙が流れた。僕は穏やかな気分のまま
「良かったら、返事を聞かせて欲しい」
と言った。
返事は聞かずとも結果は目に見えてるけど、君の口から答えを言ってもらえれば、僕の恋は完全に終止符を打つことが出来る。
淡い青春の1ページとして、いつかの笑い話にできるだろう。
君はそっかと言ってから
照れくさそうに、僕の方を見ながら一言だけ
「ありがとう」
と言って笑った。
僕がその先の返事を聞こうと口を開きかけた途端、後ろから"おい"と声が聞こえた。
金髪のいかにも不良とみえる男がいて、
「アイツの手術終わったぞ」
と君に言った。
わかった、と呟くと
じゃあ、あたしそろそろ行くね
「またね」
そう言いながら、僕の前から消えていった。
夕日が差し込む休憩室に一人取り残され、暫く動くことも出来なかった。
『 ああ、これは罰だな』
手に持ってた処方箋をグシャリと握り潰してゴミ箱に捨てると、僕は休憩室を後にした。
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