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僕は臆病者だ。 男の子なんだから泣くんじゃない。なんてありきたりなセリフ、何回言われた事だろうか。幼い時から不安症で、臆病で。母親の姿が見えなくなるとすぐ泣き出すような、そんな弱っちい男だった。 成長しても変わらない。。流石に泣くことはなくなったけど、自分の気持ちを素直に伝えることが出来なくなった。自信の喪失、とでも言えば格好はつくだろうか。 僕には好きな人がいた。 そして、その恋は数ヶ月前にあっけなく散った。 人に興味があまり無かった。名前とか顔とか覚えることが苦手だったし、人とつるむこともそんなに得意では無かった。僕が女だったらこんな男とは絶対に付き合いたいとは思わないだろう。だけど、好意を寄せてくる物好きな女性もいて、僕があの人に言いたくとも言えない言葉をいとも容易くぶつけてくるのだ。 「好きです、付き合ってください」 人気のない場所に誘われて、緊張した面持ちで僕の前に来てこの言葉を言う。マニュアルでもあるのではないかと思うくらい皆が皆同じ行動をするのだから笑ってしまう。 そして、僕も僕。自分を傷つけるのは怖いけど人を傷つけるのはもっと怖い。だから、いつも同じ言葉で突き放す。 「ありがとう」 肯定も否定もしないその言葉が一番相手を傷つけている事は薄々気づいてた。けれど、僕がいつまでたっても言えない言葉を素直に伝えられるその子達がとても羨ましくて、とても憎いのだ。
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