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「うわっ…ほんとボロボロじゃん。いきなり床抜けたりしないよな…」
蹴飛ばしただけで壊れた扉を見て、正直俺は驚いた。
そりゃあ、十年近く前に閉鎖されてたんだ。ボロくなってても仕方ないか。
「………埃とかも凄いねぇ……」
壊れた建物の中に入った俺たち二人。歩く度に舞い散る埃が、久しぶりの客を歓迎しているようだった。
「お化けとか出そう…って内心震えてるんじゃないの?」
俺の前を歩く美春が、振り向きながら懐中電灯を顔に当てる。
「あのな、ガキの頃の肝試しじゃあるまいし…」
大人な対応をしたつもりだったけど、実はちょっと怖かったりしたのは内緒だ。
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