【 プラネタリウム 】

5/5
前へ
/33ページ
次へ
「本当にプラネタリウム……みたいだな」 上を見上げたまま、ぽつりと漏らす。 すごく驚いていて、そんな情けない声しか出せなかった。 「……うん…」 二人で見上げる星空。 ゆったり座れるはずのイスは残念な事に、雨風でグチャグチャと崩れ、中身が出てしまっていたけれど…星空に見とれていた俺たちには関係ない。 「…なんかさ…本物のプラネタリウムより綺麗かも…」 相変わらず惚けた声で俺は言う。 「……うん…」 相変わらず惚けた返事をする美春。 幻想的な星々の輝きを、俺たちは時間の許す限りいつまでも眺めていた。 プラネタリウムで目を輝かせていた、幼いあの頃のように……。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加