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「…綺麗ねぇ……」
ここは、辺りに建物も何もない…小高い丘。
二人の男女はそこで星空を見上げていた。
「ああ、これ以上はない絶景だよ」
まるで、宝石箱をひっくり返したような美しい夜空を見ながら、二人は愛を語らう。
「ねぇ…今日は満月よ。ほら、あんなに光ってる……」
女性が指差す先には、一際目立つ大きな星。
「知っているかい?あそこには猿達が棲んでいて、餅を突いているんだってさ」
少し笑いながら話す男性に、クスクス笑って返す女性。
「お猿が?…面白い冗談ね」
笑う二人の長い耳を、夜風が揺らした。
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