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家の扉を開けると桜の花びらが待っていた。
厳しい冬の寒さがある日を境に暖かくなった。
「ふぁぁっ…眠い。」
そのせいか眠たくて仕方ない。
春眠暁を覚えずとはよく言ったものだ。
「コラー。六。ネクタイ曲がってるわよ。新学期なのにだらしない。」
曲がっているネクタイを直してくれた黒髪ロングのこの女性は、俺の母親、
名前は、『湊祭(みなとまつり)』という。
「祭さーん…!六だけずるいぞー!」
そう言って母さんの頬にスリスリしているのは俺の父親。『湊純』だ。
「純くーん!もーう、甘えん坊なんだからぁっ!」
「………」
高校生の実子でさえも胸焼けがするぐらい甘々なイチャつき方をしている。
「父さん。それじゃあ、出張気をつけてね。」
父さんは出張が多く、家を開けることが多い。その為か子供が高校生になっても新婚かのようにラブラブだ。
母さんいわく、映画にしてもいいくらいの大恋愛だったそうだ
これを見てると彼女が欲しいと思いが日に日に強くなる一方だよ…
「あぁ。お前も気をつけて学校に行きなさい。あと…彼女ができたら紹介するんだぞ?」
父さんは悪戯な笑顔を浮かべて俺の頭をなでる。
正直母さんがなんで父さんに惚れたのかよくわかる。とにかく優しいんだ。
「ほら!遅刻するわよ!早く行きなさい!」
後ろから殴るように大声で背中を押され桜が降り注ぐ坂道の上にある学園へと向かって俺は歩み始めた。
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