【1】遺能者

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土曜日の朝になると殆ど情報整理は出来ていて、あとは能力に慣れるだけだろう。 パートナーを得ればテレパシーが完全に使えるようになるけれど、簡単に決められることじゃないんだよな・・・。 母さんに雪也のとこに遊びに行ってくると伝え雪也に今から行くとメールを入れる。 差し入れになるものを途中で買って雪也のアパートに行く。 チャイムを押して出てきた雪也に差し入れを手渡し、中に入った俺はベッドに寄りかかるようにしてテーブルを前に雪也と並んで座る。 隣に座る雪也の肩や手が触れて声が聞こえてきた。 “やっぱり瑞樹は格好良い。俺が一番近くに居られたらいいのに・・・。いつまでこの関係を続けられるかな。瑞樹に恋人が出来たら俺、普通にしていられるかな。どうしよう・・・。” 身体が動いて雪也を抱きしめそうになるのを必死に堪えた。 恋人って・・・もう俺はお前を好きになり始めてるよ。 拒絶されるかもしれないのは俺のほうなんだけどな。 「これ瑞樹のもあるでしょ。」 「バレた?自分のも買ってきた。」 ニッコリ笑って言うと雪也の頬が少し赤くなった。 そんな雪也を少しだけ可愛く思えている自分がいることに気づく。 雪也に真実を伝えた時に俺から離れてしまったら耐えられるだろうか。 「瑞樹、相変わらず甘いの好きだね。」 テーブルに置かれたカフェオレとチョコレート。 この2つは今も変わらず好きで、最近はかなり糖分がほしくなる。
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