【1】遺能者

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糖分が今まで以上に欲しくなるのも、覚醒した影響なのだろうと思う。 ゲームを始めようとする俺に、雪也が言ってきた。 「俺まだ宿題終わってないから、先に終わらせちゃうよ。瑞樹は終わったの?」 「昨日言ってたのだよな?終わったよ。」 驚いた顔をする雪也を見て気づいた。 そういえば俺あまり勉強得意じゃなかった・・・。 突然スラスラ問題解いてたりしたら怪しまれる。 「適当に写したりしちゃったけどね。」 苦笑いしながら言う俺をみて、ほっとしたように雪也の表情が戻った。 本当は全部自力なんだけど。 言えないことが少しだけ悔しくなる。 「そんなことだろうと思ったよ。ちゃんと自分でやらなきゃだめだよ。」 「手伝おうか?」 雪也は変に真面目なんだよな。 要領もあまり良いとは言えないだろう。 「瑞樹が手伝うって丸写し・・・!?」 「あはは・・・バレた?」 俺はかなり頭が悪い印象があったのかと思った。 確かに勉強そのものをして来なかったけれど、丸写しはしたことない。 何気に酷いな・・・お前俺が好きなんじゃないのかよ。 こいつ俺がどんなやつだと思ってるんだ・・・? 「自分でやるから大丈夫だよ。瑞樹はゲームしてていいから。」 俺は手伝いを諦めてため息をつきたくなるのを堪えてゲームを始めた。
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