【1】遺能者

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雪也はなかなか進まないらしく、調べたりしながら「う~ん」と唸っている。 教えてあげたいけれど俺は勉強の出来ない人になっているみたいだし、教えてあげられないのがもどかしい。 雪也の唸る声を聞きながら進み具合が気になりつつ、ゲームもそれなりに進んでいて気付けばお昼の時間が過ぎていた。 「雪也、お昼何か買ってこようか?」 「えっ!?もうそんな時間?買いに行かなくていいよ。俺、何か作るから。」 雪也って料理できたんだ・・・。 元から料理が出来たのか、一人暮らしだから作るようになったのかはわからないけれど。 雪也が何を作ってるのか気になって見に行き、雪也の肩に手を置いて覗き込むと、ビクッとしたのが伝わってきた。 「瑞樹、まだ出来ないよ。簡単なもので悪いんだけど、向こうで待ってて。」 “びっくりした。心臓に悪い。見られてると緊張するって。それに近すぎ・・・。あー、もう、ドキドキ伝わっちゃうじゃん。” 「うん。雪也が作るの初めて見るから、何作ってんのかなって思って見に来た。俺、料理出来ないから簡単でも作れるだけ凄いと思うよ。」 慣れてる感じがするのに、どこかぎこちないのはやっぱり俺のせいなのか? 俺ここにいたら、もしかして失敗する? 今までもこんな感じだったと思うけど、ずっとこんなふうに思ってたのだろうか。
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