【1】遺能者

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月曜日、学校に行くとやっぱり皆から言われるのは、「瑞樹が1週間休むなんて珍しい」とか、「実は誰かとコッソリ泊まりがけでデートか?」なんて言われて、俺ってそんなキャラだったか?なんて少し落ち込む。 変わったといえばクラスの女子を見たところで、誰ひとりとして性的対象には出来ないと思っていることで、可愛いと男子に人気の子ですら、想像しただけで寒気がした。 改めて自分は男にしか欲情出来ないのだと実感する。 廊下側の雪也の後ろの自分の席に座って、雪也に「おはよう」と挨拶すると、雪也からも挨拶が返ってくる。 やっぱり雪也は頬を赤らめていて、やっぱりあの日抱きしめてしまったのがいけなかったのかと反省する。 授業が始まり気づけば寝ていた俺は、雪也に肩を揺すられた。 「・・・き、・・・瑞樹・・・。」 “綺麗な寝顔・・・。あの唇、触れたら柔らかいかな。・・・ダメダメ、こんなこと考えてたら。それにここ教室だし、みんないるし。” ・・・・・・雪也!? こいつ欲求不満とか? 周囲の騒がしい音や会話が聞こえてきて、まだ教室で誰かがいるから何もないけど、今度からは教室に誰もいなくなるような時は寝てはいけないなと思う。 お腹も空いてきたこともあり机に頬杖をついて寝ていた俺は目を開けると、目の前に雪也の顔があって視線が合う。
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