【1】遺能者

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幸也の頬があっという間に赤くなり、視線を逸らされ座っていた雪也は向きを変え弁当を手にした。 この程度で真っ赤になるならキスなんか出来ないんじゃないか? それでも警戒はしておくしかないんだけど。 「瑞樹、起きたならお昼食べよう。早くしないと時間なくなる。」 「そうだな。」 俺も一言返して母さんが作ってくれた弁当を出し、机の上に広げた。 雪也もこっちを向いて座り机の半分を使い、自分の弁当を広げていく。 「雪也、それ自分で作ってるのか・・・?」 「ん?そうだよ。何か食べる?」 首を傾げて聞いてくる雪也を可愛いと思う自分がいた。 前から雪也は助けてあげたくなる気持ちにさせられるけど、可愛いと思うようになってきたのはやっぱり雪也の気持ちを知ってからだろう。 もしかすると俺自身が雪也に惹かれていっているのかもしれない。 「今はいい。また今度何か作って。」 「うん、いいよ。リクエストあったら前もっていってよ?」 俺は自分の弁当を食べながら頷く。 やっぱり雪也、パートナーにしたいな・・・。 ただこいつが遺能者を知ってるかどうかだけど、知ってたとしてどう思っているのか知りたい。 よく思っていないのだとしたら、俺は雪也をパートナーにはできないだろう。 まだ時間が必要だということだよな。
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