【1】遺能者

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気配のするほうに行くと保健室にいるのだとわかる。 どうやらパートナーに異変が起きて、保健室を借りたようだった。 気付けば俺たちの後ろから雪也と小谷が来ていて、戻れとも言えずに保健室の中へ入って行く。 カーテンは全て閉められていて、外からは見えないようになっていたけれど、カーテンに区切られたベッドから声が聞こえた。 「ごめん。俺のせいで・・・。」 「何言ってんだ。泣くなよ。男だろ?」 気になって隙間から中を覗いた。 そこには裸で抱き合う男が2人。 俺は瞬時に察した。 あのパートナーが危険だと。 気配が消えかけているのがわかる。 隣の赤坂を見ると彼もわかっているようで、哀しそうな顏をしている。 会話の内容から、きっともう長くないことにお互い気付いている。 さっきの暴走した遺能者、そして目の前の状況。 いったい何が起こっているんだ・・・? 雪也と小谷も裸で抱き合う2人を見てしまったのか顔を真っ赤にして両手で口元を覆っていた。 次の瞬間下にいた男が砂になっていく。 その砂はもう1人の男の身体へとまとわりついたと思えば、そのまま男の身体へと吸収されていった。 能力のひとつか・・・。 少しの間動かなかった男は俺たちがいることに気付いたようだ。 自分の服を着て、パートナーの着ていた服を畳んでこっちを向いた。
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