【1】遺能者

27/38
前へ
/429ページ
次へ
“外部に漏れることのないように、このまま話すよ。2人には俺自身のこと、さっき消えた俺のパートナーについてを話しておく。” 聞きたい答えが聞ける。 俺は戸惑いもあったけれど、真実を知りたいという思いのほうが強いため話をそのまま聞くことにする。 男は話を続けた。 “実はOタイプには2種存在していてね。母親が遺能者である者と、父親が遺能者である者。君たちもわかると思うけれど、遺能者の男性の覚醒時期は15歳から17歳と個人差がある。覚醒前は女性を性対象とする。母親となる女性が遺能者の場合は問題ないんだが、父親が遺能者の場合、母親は一般人と考えるのが普通だろう?遺能者の女性は物心ついた時には、自分が遺能者だとわかっている。結婚まで男性との関わりをあまり持つことはないし、結婚するような時期には男性の遺能者は皆覚醒を終えている。一般人の母親と遺能者の父親から生まれた子供は、能力の覚醒が不完全なんだ。” “能力の覚醒が不完全?そんなことあるんですか!?” 初めて聞く話に驚きを隠せない。 口に出しては言えないけれど、これは直接に話されていくことなのだろう。 “実際、俺自身がそうだ。父親が誰なのか知らない。話し合いで生活面の援助はしてもらってたみたいだが。君たちは母親が遺能者なのではないか?” ““はい”” 俺たちの返事を聞いて、男はどこか安堵したようだった。 “暴走していた彼も、俺と同じ不完全だった。Oタイプの覚醒が不完全だと、パートナーになったIタイプも不完全な遺能者になってしまう。Iタイプは肉体的に崩壊するようになり、パートナーを失ったOタイプは暴走するようになる。”
/429ページ

最初のコメントを投稿しよう!

225人が本棚に入れています
本棚に追加