【11】作られた遺能者

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本当にそうだろうか・・・。 研究者がそう簡単に死者が出たからといって自分の研究を諦めるはずはないと思う。 実際自分の息子にまで薬品を使ったのだ。 その息子がどうなってもいいという思いは少なからずあったと思う。 けれど、李玖が生きていることで今後李玖への被害が出ると考えると、あのまま死を迎えたと李玖の両親には伝わったほうがいいかもしれない。 「それに・・・俺は柚琉と離れる気はありません。連れ戻されるなんて嫌です。」 俺たちが考えるようにして黙ってしまったことに李玖は付け足すように言った。 「なるほど・・・、それは一理あるね。柚琉はそれでいいの?」 「李玖がいいというのなら仕方ないです。本当は高校一緒に行きたかったんですけどね。でも、李玖が学校に行くことで研究者が調子に乗るのも嫌だし、何かあったらもっと嫌なので・・・、李玖の案にのります。」 しばらくは柚琉も学校は休むことになるし、柚琉が学校に行けるようになったら蓮司さんも佑太さんもいるから大丈夫だろう。 今回のことにより李玖の両親がどう動くかが問題だ。 「とりあえずそのあたりのことはこっちでなんとかするけど、李玖君は今の名前のままじゃまずいから何か他の名前を考えておいて。」
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