【1】遺能者

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家の中に入ると、赤坂の母親が出てきたので名前を名乗り挨拶をすると、赤坂の母親は驚いた表情で俺を見て言った。 「葛城って、もしかして、さーちゃんとこの?」 さーちゃん!? さーちゃんて母さん? 俺が考えていると答えが返ってきた。 「葛城沙里菜だからさーちゃん。うちと親戚なのよ~?瑞樹君と尚人は従兄弟同士だし、ね。」 「確かに母の名前ですね・・・。従兄弟!?」 おばさんはしまった、という顏をして、「話してあげるから尚人の部屋で待ってて」と言った。 考え込むような仕草をする赤坂と2人で待っていると、おばさんがノックをして入ってきた。 飲み物とお菓子を入れた籠を、テーブルに置いて、座った。 「瑞樹君には弟と妹がいるわよね。克之さんは瑞樹君の血の繋がった父親ではないのよ。瑞樹君が小さい頃に、DNA鑑定を克之さんに内緒でさーちゃんがしたの。当時まだ覚醒してなかった私の弟と結婚を控えたさーちゃんに、身体の関係があったのを知ったのは瑞樹君が生まれた後だった。遺能者同士の間に子供が出来ることは、なかなかないことなのよ。だから、誰にも言ってはだめよ。尚人もね。瑞樹君、さーちゃんを責めないでね。」 「・・・はい。」 一度に知る事実に俺は呆然とするしかなかった。
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