【1】遺能者

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赤坂の母親(正式には俺の伯母)は「他に知りたいことあったら聞いて。知ってることなら話すから」とだけ言って部屋から出て行った。 「赤坂、お前知ってた?」 「いや、俺も初めて聞いた。苗字じゃなくて尚人でいいよ。」 「俺も瑞樹でいい。」 今日の話を思い出す。 父親が遺能者でも、母親が遺能者であれば不完全ではないと言っていた。 俺は遺能者の血が濃いってことか。 というより、俺、父親の顏知らねーじゃん。 「瑞樹、大丈夫?」 「大丈夫って何が?」 正直、わけわかんないけど、だからといって何も変わらないし、家にいないあの父親と血の繋がりがないと言われたところで、寂しさも感じない。 「父親に会いたい?」 「ん?今はいいや。そのうち会えんだろ。尚人、親戚って俺らが従兄弟だから?」 俺はふと思った疑問を口にする。 「違うよ。元々親族関係にあったんだよ。赤坂家は、直系である葛城家に、一番近いといわれてる。先祖を辿るとわかるんだろうね。」 「なるほどね。気になるのは母親が遺能者でも、父親が一般人ていうのが普通。けど、俺みたいなのが稀にいる。遺能者と遺能者を合わせたら、能力は上がるんかな・・・。」
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