【1】遺能者

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俺の言ったことに、尚人が驚いた顔をした。 「思うとこは・・・そこかよ。」 次第に尚人は呆れた顔になる。 「だって、気になるだろ?そして稀な存在だからか、情報なんかない。だったら、自分で調べるしかないだろ。だけど、どう調べるかが問題なんだよ。あっ!尚人と比べたらいいのか?」 「なんで俺・・・。まぁいいけど。調べるのも悪くないかな。仕方ないから協力するよ。面白そうだし。」 尚人は、この状況を楽しみ始めてるように感じた。 俺も人のことは言えない。 この状況が、楽しくなってきている。 研究対象は自分自身。 何をするとか、具体的なことはわからないままだけど、少しずつ、何かがわかっていくだろう。 「そういえば、尚人はパートナー候補いるのか?」 「あー、パートナーね。気になるやつはいるんだけど、悩むんだよ・・・。」 気になるやつがいるのか。 聞き出してみよう。 人の話は楽しい。 「気になる相手は誰よ?」 尚人はため息をついて、仕方ないと呟いた。 呟きは俺にしっかりと聞こえてくる。 「小谷だよ・・・。」 「へぇ。小谷って遺能者になりたいって言ってたよな?それと関係なしに前から?」 「前からだよ。そういう瑞樹はどうなんだよ。」
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