【1】遺能者

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知ったからといって、どうにか出来るわけでもないけれど、話してみたいとは思った。 「尚人、桐生の家わかる?明日休みになったら、話しに行ってみたい。」 「言うと思った。家わかるよ。休みだったら行ってみる?家にいるかはわからないけどね。」 ひとりずつでいいから、自分と比較できる相手が増えていけば、何かわかっていくかもしれない。 少しでも早く情報が欲しい今、明日は休みになってくれと願う。 少し話もできたこともあって、明日が休みなら明日も会うからと帰ることにした。 連絡先だけ交換して、おばさんにも挨拶をして家に帰る。 休みだった場合9時に尚人の家に、行くことになっている。 1日で初めて知ることを、いくつも聞かされ、自分の出生に関わることもあって、今日は眠れるのかという不安もあった。 家に帰ると母さんが待っていて、話をしたいと言ってきた。 話といわれてもな・・・。 驚きはしたけれど、だからといって両親をどうするというわけでもなく、ただ自分のことを知りたいと思うだけだった。 リビングで母さんと向かい合わせで座り、母さんの話が始まるのを待った。 「お父さんのこと聞いたんだってね。」 「うん。聞いた。」
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