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それが敵か味方かは実際に見つからなければわからないけれど、俺が浄化で薬品を取り除いて記憶を正しく戻すように、研究者のほうも偽りの記憶を植え付けた者を故意に元に戻すことも出来てしまうのではないかと考えてしまう。
もし俺の考えが実際に実行されてしまうと、KIGSISは研究者によって内部の機密データまで知られてしまう可能性もある。
本当の重要なことに関してはデータとしては残されてはいないのだけれど、口伝いであっても協力者となってしまったら簡単に伝えてしまうだろう。
「紅也が起きたようなので連れてきます。」
「わかった。行って来い。」
断りを入れた聡志さんは繊紀さんに言われると、ソファーから立ち上がり紅也さんが寝かされたベッドの置かれている部屋へと入っていった。
フードを被ったままの繊紀さんと蓮司さんは少しだけ声色も変えていて、顔を知られたくない相手には簡単には気づかれないだろう。
ただ、マントからして総司令官とその補佐官だということがわかるために、何も知らない聡志さんはKIGSISのトップを相手に話しているという感覚があるだけかもしれない。
しばらくして聡志さんに支えられるようにして出てきた紅也さんは、どこか元気がないようにも思えた。
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