【1】遺能者

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母さんはゆっくりと話し出し、父親に会おうと思えば会えることも、いくつかした検査の結果では異常がなかったこと、普通に覚醒できて良かったと、そして今まで言えなくてごめんと謝られた。 「母さん、今はこのままでいいよ。今更だし、血の繋がりのある父親にはいつでも会えるんでしょ?今は他にやりたいことあるんだ。だから今まで通りでいいんじゃない?」 「瑞樹の好きなようにしなさい。でも、お父さんには知られないようにね。お父さんて克之さんのほう。あの人、最近大学に籠もりっきりで、帰って来ないから何してるのかと思えば、遺能者の研究してるみたいなのよ。あーやだやだ。」 確かに知られたらモルモットにでもされかねない。 でも、母さんからしたら一応旦那だよな。 そんなんでいいのかと言いたくなった。 ただ、義理の父親(戸籍上は実父)が遺能者の研究をしているのは初耳だけど、直系の家に研究者が婿養子ってどうなんだろうとも考えてしまう。 俺も研究するつもりではあるけれど、義父がどこまで研究が進んでるのか気になる。 俺が知らないことまでたどり着いているとは思えないけど、義父が研究内容などを語りに帰ってこないかなと内心思ったりしたけれど、すぐには機会は来ないようだ。
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