【2】偶然の奇跡

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部屋の感じから桐生の部屋だろうと思い、見渡すとベッドに人の気配を感じた。 身体から力が溢れ出してる感じを受け、ベッドに近づくと動かない桐生が横になっている。 つい最近の自分のようだと思って気付く。 「尚人、これ覚醒だよな?」 「どうやらそうみたいだ。この状態を見ると覚醒はまだ終わらないね。話すにしてもしばらく時間がかかるだろうな。どうする?」 数時間もすれば会話が出来るだろうと思い、待つのが一番いいと思う。 飲み物を買ってくるという尚人に、自分の分も頼んで桐生の部屋で待つことにする。 母親の様子からして母親は一般人で、桐生の能力は父親からの遺伝だろう。 俺は桐生から溢れる能力を身体で感じていた。 ふと違和感を覚える。 俺とも尚人とも違う・・・頭に《不完全》というあの男の言葉が過ぎった。 何かが足りないんだ。 これが母親が一般人だからこそ起こる現象か。 観察ともいえる状態にいると、尚人が片手に飲み物とお菓子の入った袋を持って帰ってきた。 「おかえり。なんかね。やっぱり足りないんだね。」 「何がだよ。意味わかんないから説明して。」 ひとりで納得してた俺は結論だけを口にしていた。
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