【2】偶然の奇跡

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桐生は頷いていた。 身に覚えがあるのだろう。 桐生に彼女がいたと聞いたことがある。 「女性の遺能者は生まれつきに自分が遺能者だとわかっているようだね。物心ついた時には母親から説明を受けるらしい。父親が遺能者で、母親が一般人の場合、覚醒した男は離れていくことになる。たとえ女性が妊娠したとしても。パートナーを作り守らなければいけないから。援助は話し合いによっては受けられるはずだよ。桐生の場合、父親からの金銭面の援助はきているんじゃないかな?」 「養育費もらってるとかは聞いたことある気がする。」 生活に困ってる感じがしなかったから、そうだろうとは予想していた。 援助があったから桐生はここまで育ててもらえたのだろう。 「父親からの遺伝で生まれた女性にはまだ会ったことないからどうなってるのかは知らないけど、つい最近、父親からの遺伝でっていう遺能者の男性には会った。」 「何か言ってたか?」 桐生も自分が不完全なことはわかってる。 もしかしたらその先も予測できているのではないかと思えてくる。 「その男性が言うには、父親が遺能者で、母親が一般人の場合、不完全な状態なのだと。だからパートナーも不完全だと言っていた。」
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