【1】遺能者

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とりあえずは腹ごしらえだと思い、出された食事を平らげた。 頭の中は慌てて一度にいろんな物を詰め込んだようで思考がついていかない。 ため息をついて、食後のコーヒーを入れた。 「聞きたいことあるなら教えるわよ?」 頭の中がぐちゃぐちゃだと言った俺の言葉にも疑問を持たず、今の母の発言から母は俺がこうなることを知っていたのだとわかる。 母はまだ何一つ整理の出来ていない俺が知りたい情報も持っているのだと感じた。 「母さんも遺能者?」 「そうよ。と言っても女性は男性ほどの力はないけどね。」 当たり前のことを聞いているような気分で、一気に沸きあがった大量の情報を頭の中で整理するには時間がかかりそうだと思った。 「父さんも?」 「お父さんは普通の一般人よ。何も知らないわね。子供さえ作れたらそれでよかったからいいけどね。」 父さんは一般人か、って・・・あー、そういえばそうだよな。 既に知っているはずのことを聞いていて、やっぱりまだ混乱しているなと思う。 それにしても、今とんでもない発言を聞いた気がするけれど・・・、うん、聞かなかったことに・・・。 「まだ混乱してるから何聞いたらいいのかわからないな。」 「そうね。血筋のことでも話しておきましょうか。」 血筋・・・。 ということは妹の梨央と弟の柚琉も遺能者ってことになるのか? 話を聞いていたらわかることなのだろう。 「まずはお父さんは婿養子ってことは知ってるわよね?葛城というのはお母さんのほうの苗字。これは言ってあったわよね。」 「それは聞いてる。」
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