Omen of death

7/8

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
マンションの中間の高さまで落ちると、彼女は壁を蹴って体勢を変えて隣のアパートの屋根に難なく着地した。 そして、何事も無かったかのようにロリポップを噛み砕きながら歩いていき、屋根の端までくるとひょいとひとっ飛びで隣の一軒家に移り再び歩きだす。 それを何回か繰り返し、事故現場である十字路に着く頃にはロリポップは完全になくなり、今度はアイスを鞄から取り出して食べていた。 しゃくしゃくと涼しげな音を立てながら噛み砕いていく。 その表情は、少年の死体を、血を見ても変わることなく、まるでセミの死骸でも見るがごとく何も無かった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加