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投げ出され血まみれの少年の腕をローファーのつま先でついついとつついて反応が全くないことが分かると、食べ終わったアイスの棒を咥えたまま、そこに何も無かったかのように歩き出した。
その時だった。
「う……」
ほんの微かな、普通なら気づかない息遣いが少女の耳に届いた。
数歩進んでいた彼女はぱっと振り返り、そこで初めて表情を変えた。
急ぐ風でもなく、ゆっくりと少年の元に戻ると、流された血で汚れるのも構わずその場に膝を付く。
血色を失い青白くなった首筋に手を伸ばす少女の瞳は、ついさっきまでとは違う、内側から光を発しているかのような美しい真紅に輝いていた。
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