Do not let this hand

3/33
前へ
/33ページ
次へ
香奈と別れ地下鉄に乗る。 名古屋って革ジャン率高いのかな…。 ぞろぞろと革ジャンの男女が乗り込んできた。 革ジャンには鋲が沢山刺さっていて見るからに厳つい。 革ジャンを着た綺麗な金髪の女性が私の足元に何かを落とした。 錠前の形のピアスを拾って渡す。 「あ、ありがとう。これ大事なヤツなんやて~。」 笑顔を返す。 新栄町の駅で一斉に革ジャン軍団は降りて行った。 何かのライブがあるのかな? 降りて行った革ジャン軍団を車内から見送る。 自宅のある今池で降りる。 気にし出したせいか、今池にも革ジャン軍団があちこちにいる事に驚く。 名古屋に越してきてからこんなに革ジャンの人達が気になったのは初めてかもしれない。 通りすがりのビルに革ジャン軍団が群がっている。 なんとなく胸騒ぎがして立ち止まる。 少し離れた所からその人達を眺める。 この雰囲気、懐かしい…。 ライブハウスの外にあるスピーカーが徐々に音量を上げ始めると革ジャン達は一斉に中に消えた。 ライブハウスの看板に今日出演するバンド名が書いてある。 全く知らないバンドばかりだった。 何を期待したんだろう、私。 走り込んで来た革ジャン男にぶつかる。 「あー!ごめん!」 その男が落として行ったチラシを拾い上げる。 日付とライブハウスの名前、バンド名が沢山書いてある。 「!!!」 うそ… 目を疑った。 3/28 新栄 ライブハウス ○*%☆ 出演 cBa etc… チラシを持つ手が震えた。 カイ… 考えるより先に走り出した。 走ったせいでドキドキしているのか、自分の行動にドキドキしているのかわからないくらい鼓動が激しい。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加