"過去"よりも"現在"

2/23
前へ
/40ページ
次へ
──8月7日。 今日は翔真の誕生日。 直前の土曜日、うちに翔真と吉田先生を呼んで盛大にお祝いしたし、日曜日には2人きりで甘い時間を過ごした。 平日だし大した事はできないけど、翔真がどうしても私と2人きりの時間を過ごしたいって……。 私だって勿論そう思っていたから、2人ともノーザン申請で定時になったら退社の予定。 今日はそう急ぎの仕事もなく、外勤も入ってなかったから問題なく定時で上がれるはず。 …………そう信じていた。 定時まであと30分。 明日の準備をしながら、翔真にメールしてみようかなって思っていた私の元に突然の来訪者が。 「蘭さん、お久し振り。元気で頑張っているようだね」 その人物は、私の過去の苦い記憶を伴って現れた。 「木原課長!?………ご無沙汰しています。どうして、ココに?」 あまりにも予想外の出来事に、ただただ驚くしかなかった。 「驚かせてしまったようだね。一時帰国中なんだよ。さっきまで専務に呼ばれていたんだ」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加