35人が本棚に入れています
本棚に追加
「アイツに……木原課長に何をされた?」
「な、何をって……。特には何も……」
さっきは洗いざらい話してしまいたいと思ったけど…。
いざとなるとどういう風に説明したらいいのか分からない。
それに、思い出したくもない。
「本当か?叫び声が聞こえたけど。あれは確かにまひろの声だった。資料室の中に入ってからは、木原課長の声も聞こえたけど…」
それは私が足を思いっきり踏みつけたからだ。
しかしそれを言うと、どうして足を踏んだのかと聞かれるだろう。
不本意とはいえ、木原課長に抱き締められてしまったなんて…。
知られたくない。
「ちょっと腕を掴まれてしまって、驚いてしまったの。怖くなって叫んじゃった。翔真が来てくれて本当に嬉しかったし、安心できた。だからもう、大丈夫」
翔真を安心させようと思って、わざと明るめな声で言った。
そんな私をじっと見つめていた翔真が、真剣な眼差しのまま私に接近してきた。
最初のコメントを投稿しよう!