やっと………。

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「アイツに……木原課長に何をされた?」 「な、何をって……。特には何も……」 さっきは洗いざらい話してしまいたいと思ったけど…。 いざとなるとどういう風に説明したらいいのか分からない。 それに、思い出したくもない。 「本当か?叫び声が聞こえたけど。あれは確かにまひろの声だった。資料室の中に入ってからは、木原課長の声も聞こえたけど…」 それは私が足を思いっきり踏みつけたからだ。 しかしそれを言うと、どうして足を踏んだのかと聞かれるだろう。 不本意とはいえ、木原課長に抱き締められてしまったなんて…。 知られたくない。 「ちょっと腕を掴まれてしまって、驚いてしまったの。怖くなって叫んじゃった。翔真が来てくれて本当に嬉しかったし、安心できた。だからもう、大丈夫」 翔真を安心させようと思って、わざと明るめな声で言った。 そんな私をじっと見つめていた翔真が、真剣な眼差しのまま私に接近してきた。
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