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「ふはっ、いーの? 風紀委員長サマがこんなこと、してて」
淡い光のみで照らされた室内に、2つの影が重なる。
甘い音を立ててベッドに横たわる男から顔を上げると、桜嶺は息を漏らして笑う。
「お前が言えた立場か、優」
「はっ、違いないね」
副委員長である優は、目の前にある上司の頭に手を添えると自らその唇をねだった。
初めこそ重ねるだけだったものが、次第に互いの唇を挟むような動きへと変わる。
「んっ」
思わず溢れた声を耳に入れ、桜嶺はおもむろに瞼を上げた。
ブルーベリーのような瞳は、普段の眠そうなものとは異なる色を見せ、その香りを強くする。
「……何」
「いいや、綺麗だと思ってな」
「ばーか」
不愉快そうな恋人に額を合わせると、小声で悪態をつかれた。
それすらも愛しくて、桜嶺は再び唇を重ねた。
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